小川原隆太 彫刻制作記録(森共同アトリエ管理人日記)

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完成写真

「運命が見た未来」

H200×W70×D70cm

これにて3部作完成です。

この頃は木彫も大分経験を重ねてきて作品に自信もついてきた感じですね。

これまで実力の上限を突破するための作品がいくつかありました。例えば牛と女性像「朝日は大地に目覚めの時を知らせる」10人の群像「lasting night」白いトラ「innocence」あたりがそうですね。これらの作品は次の段階に行くための扉を開くみたいな感覚で制作しました。

今回の3部作はこの時の自分に向き合うための制作だったので新たな段階への挑戦というわけではなかったのですが、色々と確かめることができたので次の作品では段階を進めるための制作に取り組むという意気込みがメラメラと燃えていました。


本当は毎回上限突破の作品がつくれたらいいのですが、そう簡単にはいかないですね。技術も感覚も追いつけないです。しっかり地固めをしてから次の段階へ挑み、また地固めをする。段階を進めた時に得られた自信は何より大きなものですが、地固めをしている時に得られた自信は自分をその段階に定着させるためにとても重要です。
そんなに急に自分自身が成長しないのに作品だけがどんどん先に行くというのは無理がありますよね。
この3部作を制作する中でしっかりと地固めができたというわけです。

そう言えば男の像を制作したのはこれが最後でした。今制作中の作品が完成したら次は男性像をつくります。久しぶりなので楽しみです。

 

最終仕上げ 彩色

一旦全体を白くしてから最終仕上げを入れていきます。

形が完成したので彩色します。台座を養生。

今回は下地を真っ黒にせず、全体に汚くするくらいに留めました。

この上に色を重ねて完成させていきます。肌の部分はパーチメントとかアンブリーチドチタニウムという色(燻んだ白)をメインに使っています。この2色で白すぎず、肌色すぎず。品のある表現が出来ます。

全て塗り終わり、完成です!次回は完成写真です。

脚と足の完成

上半身が完成したので脚を彫り込んでいきます。

しわの感じなんかの密度を上げていきます。彫りすぎたところはエポキシパテで補修し、彫り込みます。

動きの感じ(立脚、遊脚の違い)に合わせてシワのつき方も違うのでどういう形になったら自然かどうかは実際に自分のズボンを見て判断したりします。

足も彫っていきます。指も完成させましょう。

その前に台の面を平らにします。

デッサンを入れながら遊びのあるポイントから刻んでいきました。

こんな感じですね。前傾しているので指に力がかかっている感じが大事です。

反対側もいきます。

踵ですが、右足は浮かせることにしました。マケットの段階では両足とも全部接地している形でしたが、こちら側の踵を浮かすことで作品全体に捩れの動きが出てきて空間が動き出すことに気づきました。

次回は最終調整と彩色です!ついに3部作完結です!

そういえば連作ってこの時が初めてでしたね。

まさかのパティナ再びやり直し

さらに洗浄し、屋外で薬品の塗布を重ねたら理想的な色になりました。
が、、、薬剤が濃かったのか一部塗膜が剥がれ落ちてしまいました。(一定以上濃い薬剤を重ねると急激な反応によってそれまでできていた錆の膜が剥がれ落ちてしまうようです。)

その後その部分だけこの色に合わせるのは不可能と悟り、さらにやり直すことに。。

硫酸で洗い流します。

その後アセトンで拭き上げました。

確実に完成させるため、うすーくした薬剤を今回は刷毛で塗り重ねていきます。(霧吹きだと垂れた跡がついてしまうので)
塗布開始

塗布10回目

塗布20回目
急に色変わってきました。

塗布30回目

塗布40回目

塗布50回目

もう少し重ねます。

制作時間計150時間 型の焼成時間85時間
硫化カリウム水溶液塗布30回
硫化カリウム水溶液塗布やり直し30回
硫化カリウム水溶液塗布やり直し2回目50回

過去作品の振り返り9 木彫作品6 髪の毛の彫り込み

全ての荒彫りが済んだので上から順にどんどん彫り込んで仕上げていきます。

髪の毛いきます。髪の毛の流れを束のまとまりで中彫りしてあったので、このまとまりを土台として彫刻刀でさらに刻んでいきます。刀も使い分け、複雑かつ美しい形を目指します。無駄な形が1mmもないようにって思いながら進めました。

これで頭部は完成になります。完成度の基準ができたので、完成した頭部の空気感に合うように首より下の部分も彫り込んでいきます。

 

髪の毛の形って自由度が高い分とても難しいです。実際「髪の毛の表現」としてしっかり考え始めたのは大学院に入ってからの制作くらいからのもので、思えばそれ以前はかなり適当でした。なので初めてまともに向き合った時に自分の中に引き出しが無さすぎて相当苦労したものです。経験を重ねるごとに理想が定まっていき、むしろ難儀していた場所が見せ場に変わっていきました。

どの向きから見ても単純なラインのない流れの美しさが自分にとって一番大事にしているところです。