体全体が大体仕上がったので最後のパーツ、腕を溶接しました。

グラインダーがけ、やすりがけまで。


やっぱり作品として必要なものが全部で揃うと違うなって思います。
そう考えるとミロのヴィーナスとか古代の彫刻は今となっては腕がない状態だからこそ美しいとされている節もありますが、実際腕がついてフルスペックの状態を見ることができたとしたらやっぱり違うって思うのでしょうか。
体全体が大体仕上がったので最後のパーツ、腕を溶接しました。

グラインダーがけ、やすりがけまで。


やっぱり作品として必要なものが全部で揃うと違うなって思います。
そう考えるとミロのヴィーナスとか古代の彫刻は今となっては腕がない状態だからこそ美しいとされている節もありますが、実際腕がついてフルスペックの状態を見ることができたとしたらやっぱり違うって思うのでしょうか。
手を作成します。
手は顔に匹敵する重要な部位だと思っています。感情豊かに表現ができますよね。ポージングにも特徴が出せるので作品の良し悪しにかなり作用します。
こだわらずにはいられません。
まず手のための材を本体の荒どりの時に出た端材から切り出します。

デッサンを入れてさらに荒どり。




木彫で手をつくる時に自分は手の甲側から彫り込んでいきます。甲側は全部張っている面の組み合わせでできているので面展開をつくっていけば自然にリアリティが出せます。甲をある程度仕上げてから平側を進めていくのが一番やりやすいですね。

関節の位置関係を大事にしながらザクザクと面の変化を追っていきます。


手はいつでも観察できるのがいいですね。
自分は普段の生活の中で手の振る舞いとか美しい物の持ち方とか、ついつい研究してしまいます。

内側も雰囲気出していくと塊としてなんか手っぽくなってきますね。


甲側の精度を上げていきます。



指の間の隙間を鋸で切っていきます。

それをきっかけに彫刻刀で彫り込んでいきます。



大体仕上がり。



前腕までつくりました。

一旦空中で本体に合わせてみます。

左手も前腕まで進めます。



木彫で手を彫るのはなかなかに時間がかかります。粘土だと1日もかからないものが数日はかかります。
でも「ゆっくり進むこと」によって今まで見落としていた形に反応できるようになりました。塑像の時は出来たように思っていても、表現し損ねていた部分が多かったと思います。自分は仕事が早いタイプなのですが、あえて不自由にして強制的に時間をかけなければならない状況の中でつくるくらいの方が良いようです。
誰しも全く同じに見えている形であっても、その形を「真に知覚できているのかどうか」が彫刻にとって最も重要なんだと実感します。理解が深まれば深まるほどいかに見えていなかったかを知ることとなり、自身の見る目が新たな段階に入ったことを実感できます。
上から順に形を完成させていきます。
エアーツールで♯120、♯240で大体形を整えた後、手作業で♯240をかけていきました。240はまだ傷ができるくらいの感じですが、パティナ(化学反応での調色)を施す場合十分だと思います。
ツールを使っての表面は機械的な痕が残って形がいい状態になっているのかわからないので最終的には手作業で確認していく必要があります。



ものすごく粉が出る仕事は大体終わりといった感じですが、制作中は防塵マスクではなく防毒マスクをつけています。それでも制作後は鼻の穴の奥がヒリヒリしますね。粉はフィルターを通していないけどもしかしたら空気中の水分なんかが銅に触れて影響を受けてそれが鼻の穴を通る時に悪さをしているとか。。?
肌に粉がついた状態で汗をかいても後でヒリヒリするので暑くても長袖必須です。夏はできない仕事ですね。
夏は溶けてしまうのでワックスの仕事もしたくないし、暑くて(熱くて)鋳造もしたくないし、削る仕事もしたくない。。何もできない。。
夏は原型を作る仕事だけにしようと思います。
髪の毛も量が定まってきたので頭部の内グリをしていきます。
いつもは後頭部側を切り離すのですが、今回は後頭部側が髪の毛が広がっていて面出しできないので顔を切り離します。

この線に沿って切り離します。

後で付け直すので綺麗にカットしたいです。

ダボを入れる位置決めのために画鋲を背中合わせに接着してダボを入れる予定のところに刺して印をしておきます。

最初左右につけようと思ってましたが最終的には上下に変更しました。

この状態で顔を押し当てて印を写します。

太いドリルでグスグスにします。ドリルは正転逆転切り替えできるものでないと引き抜けなくなるので注意です。



髪の毛の奥もできるところまでドリルで落としました。

顔面側も削ります。特にまぶたや唇は表側からの見え方を重視して調整します。

合わせていきましょう。

ドリルで穴を開けてダボを入れます。

接着剤はエポキシの90分硬化タイプ。エポキシ接着剤は一般的に5分、30分、90分
と硬化時間に種類がありますが、硬化時間が遅いほど強力です。

接着剤をつけてゴムバンドで固定。

接着部分を仕上げて終了。


彫って抉った深さでは出ない暗闇が目の奥に広がる感じが良いと思っています。
目線がないことで存在そのものが別の次元にいるような感覚になります。
もはや偶像としての理想を追求しているという事以外には何もないです。
作品をつくるということは自分自身のことであるのにも関わらずあまりに曖昧で不確かなものなのですが、同時にそれが真理であるということには確信を持てます。
両腕とも大体の仕上げが終わりました。

仕事は体の仕上げに移ります。

最終的には膝くらいの高さが目線になるような高さに設置します。

作業は髪の毛に戻ります。

流れるような表現についてはこの作品から特に意識するようになりました。
三次元的に曲線、曲面での形が美しく成立するように、さまざまな角度から確認を重ねて彫り進めます。流れの重なりに無駄な部分や辻褄のおかしい部分が出来ないよう気をつけます。曲線の始まりから終わりまで、どこを切り取っても美しい状態を目指します。


背面も同様に。

最初は空圧のみで大雑把に。


後半は手作業で完全な形を目指して。



自分の作品は人物彫刻ですが、人体のリアリティーよりも空間構成的な部分に重きを置いて制作していると以前書きましたが、具体的にどういう事かと言うと、一言で言えば色々な方向に形が突き出すような形ということです。
この作品はこれから腕や衣の先を寄木してつくっていきますが、元々の丸太の形を想像できないくらい自由に広がっていく構成になる予定です。
一木彫りには木という自然が生み出した素材への賛美の意識を少なからず孕んでいるように感じますが、自分の場合はそのような観点よりも空間的な魅力の方に振り切っていました。
ずっと塑像を続けてきたので、木彫の空間表現の可能性に感動しつつ、そっちの方向性での表現を加速させていった訳です。(塑像は石膏やテラコッタなどの素材に置き換えたとき、基本的には細いとか薄い表現は強度的に厳しい。木はかなり薄い表現や細い表現が可能。前作もそうだがこのようなバランスで小さな接地面で立たせるとかも全然いける)
脚の形が大まかに決まったので、一番最初の荒取りで失敗した時の寄木に木のかすがいを打ち込んで物理的に固定します。こういう蝶々型の木を埋め込んで、寄木部分の剥がれを物理的に防ぎます。
蝶々はバンドソーで適当に作ったものです。

シルエットを写して。

ドリルで輪郭内に穴をあけていきます。


蜂の巣になったところを鑿で崩していきます。

接着剤でつけて叩き込んでパテで隙間を埋めておきます。これで安心。

脚の荒彫りの続きです。丸太の端っこに向かって彫り込んでいきます。
チョークでデッサンを入れ、そのイメージに沿って進めます。衣のたるみ具合を想像しながら、また曲線の流れの美しさも意識しながら彫刻しました。


衣が肌から浮いているところ、接しているところの彫り分けが大事です。


今はブロンズ作品を中心に制作していますが木彫の振り返りをしているともう一度木彫をやってみたくなってきますね。ここ数年でブロンズの地金の値段が2倍以上になってしまったというのもあって大きな作品をバンバンつくるのも考えものだなと思い始めたところ、木材もおそらく価格は上昇していると思いますが価格上昇理由が金属とは違うのでまだマシなのかなと思ったりします。
そもそも木彫で特大サイズの作品を作るのに時間がかかりすぎるから規模を縮小してもブロンズならアリかなということで素材を変えたところがあるので、木彫にまた戻るにしても以前のような規模ではやらないと思います。
まあでもブロンズを経験した今なら以前とは違った切り口で木彫の魅力を追求できるような気もします。
まだいくつかブロンズで取り組みたい作品が控えているので何にしてもまずはそれを形にしてからですね。