小川原隆太 彫刻制作記録(森共同アトリエ管理人日記)

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空圧鑿

木彫での荒彫り、中彫りで自動で彫っていけるエアーツールを使っています。

チッパーと言われるエアーツールを使うのですが、元々この工具は石を削ったりハツリに使うものです。が、石が彫れるなら木もいけるだろうと思って試すことにしました。

↓上のチッパーはハイパワーモデル。大きな鑿をつけるとそれだけ抵抗も大きくなりますが、それでも楠をバターのように彫っていけます。

下のものは一般モデル。パワーはそこそこなので大きな鑿はつけられません。小さめの鑿での中間作業に向いています。

↓左のものはパワーは通常で高速タイプのもの。

軸(チゼル)は先端が加工されているものも売っていますが、このように棒状のままのものもあります。右手でチッパーを、左手で軸を持って彫り込みたいので結構な長さが必要になります。

この軸をいい長さにカットして鑿を溶接します。

荒っぽく使うため、鑿は安いもので十分です。柄を外して使います。

溶接箇所はそのままだと焼きが入ってしまい、他の部分に比べて硬くなって使ってる途中でカキンッとすぐに折れてしまいます。

なので焼鈍(柔らかくする)する必要があります。最初はアセチレン溶接機のバーナーを当てて赤らめて冷ましてを繰り返して行っていましたが、慣れてきたらアーク溶接機での溶接時後半にちょっと溶接しては離し、また溶接しを繰り返すことで赤らめて冷ますという状況を作るようになりました。

これらは最初期につくった鑿たちです。最初はハイパワーのチッパーがなかったので小さめの鑿だけです。

中サイズの鑿。これらは汎用タイプのチッパーで使います。



こちらはハイパワーのチッパー用の鑿。幅広の鑿でも余裕で彫っていけます。幅広の丸鑿は刃物の専門店で買うとバカ高いし、かといって一般的にこのサイズの鑿は安く売られているものではないので探すのが大変でしたが、頑張って探して安いものを手に入れました。(確か3000円くらい。相場覚えてないですが、刃物屋さんで買うと20000円くらいしたかも。)

右の二つは見た目小さいですが鑿の形状がかなり深い丸なので彫り込み時の抵抗が強いのでこのチッパーでないと使えないです。

この3本の鑿は極深丸鑿と言って丸が最大限反り返った形をしています。そのため荒彫り時にガンガン量を削っていけます。

これらはそもそも柄に取り付けることを目的とせず、チゼルに溶接するために特注したものです。しかし結局使うことなくそのままになってしまいました。

恐ろしく深い丸。

使っているコンプレッサーは全部100ボルト。3台のコンプレッサーからエアーを一つのサブタンクに集めてそこからチッパーにエアーを引き込んでいます。

チッパーはグラインダーのような回転工具に比べてエアーの使用量が少ないので100ボルトのコンプレッサー2台でも全然大丈夫です。ブロンズでの制作で回転工具を使うようになったので3台にしました。

ちなみに200ボルトにして大きなコンプレッサーを1台入れるのも良いのですが、単純に電気代が高いというのが避けている理由になりますね。

使っていなくても普段の電気代に加えて200ボルトの基本使用料もかかってきてしまいます。

常に使うとかではないので自分にはこちらの方が圧倒的にコスパがいいわけです。

空圧鑿を使うと簡単にどんどん彫れていくので研ぎも仕上げ砥石までは不要です。中砥石をざっとかけてそれで十分といった感じ。

何本か同じ鑿を用意して、軸が折れるか刃先が丸くなるまで使い倒し、全部ダメになったら一斉に溶接と研ぎを繰り返していくような使い方をしていました。

作品の規模が大きくなるごとに、荒彫りの負担が大きくなるのですが、この工具によって全くストレスなく荒彫りを終えることができるようになりました。

「強制的に時間がかかる中で新たな形の見方捉え方に気づくことが出来る」と言っておきながら効率よく便利な道具でサクサク進められる!というのは矛盾しているようですが、荒彫りの感覚は塑像で荒付する感覚と見方のスケールは同じようなものなのでそんなに発見はなくて、最終的に表面に出てくる形の追求に関しては時間がかかるだけ追求できる感じがありました。なのでもちろん荒彫り以外は手仕事で進める必要がありました。

↓折れた空圧のみの溶接

溶接したままだと溶接部が硬くて振動で部分的に負担がかかり、すぐ折れてしまいます。焼き鈍しをする工夫をしてからかなり寿命が伸びましたが絶対折れないというわけではないですね。

そのまま溶接するのではなく折れた断面の角をグラインダーで削ります。

↓折れたままの状態

↓角を削った状態。角を落とすことで芯まで溶接が届きます。

固定して溶接します。

電圧は高め。

溶接部を中心にガス溶接機で炙って焼き鈍します。

後々はガス溶接の準備をするのも燃料も勿体なくなったので、焼き鈍しは折れた部分の溶接をするときに一気に終えずに少しずつ溶接時間を短くすることで焼き鈍しの効果を得るようにしました。