体から荒彫りしていきます。今回の作品は激しく後ろに傾くのでほんの少しの足の設置面(台とつながったままの部分)で重さに耐えるには上から彫って内ぐりをし、軽くなってから脚を彫っていく必要があります。
あらゆる部分が量的に足りないので先の形を想像しながら形にしていくのが難しかったです。ちょっとだけ太めに印象を出して、寄木をして全体に彫り込む。みたいな感じで進めます。

量を削ってはチョークでデッサンし、の繰り返しです。

左足は前に放り出していて、その部分は丸太の中に収まらないので寄木して対処します。

思い切れないと彫り込みが浅くなってヌルい形になりがちなので、初めは表情よりも面性を意識して冷徹に量を落としていきます。
面の方向性と面と面が衝突することによって起こる形の強さを注意深く感じ取っていくと細部を彫り込んでいない状態からすでに魅力を込めていくことが出来ます。

こうして並べてみるとかなりマケットの印象に近いてきました。


やっぱり自分にはマケットが必須でしたね。マケットがなくてもそれなりに形を彫り切ったと思いますが、これ以上ない完璧な状態まではいけなかったと思います。
まあその「完璧」についてもそもそもマケットが完璧というわけでは全くないので、それを足がかりに木彫の中で探していくことになります。
大体の指針がマケットによって定められていることによって、マケットのその先をさらに追求できるという感覚ですね。
でももしマケット無しで制作したとしたら、全ての仕事にその瞬間の自分の意識が乗っかっていくので場合によってはこの時の完璧(ある程度予定調和的なもの)を超えられたifもあったかもしれません。
いや難しいか。この時はまだ経験が浅かったので出来なかったと思います。でも今だったら可能性はあるかな。
木彫が完成する時、それはその時点での最高レベルの表現が生まれたことになるので、(そうなるまで終われない)劣化版のマケットは価値のないモノになってしまいます。なのでマケットは処分するので残っていないです。
せっかくテラコッタにしているのでなんだかもったいような気もしますが、マケットの価値は確実に木彫に引き継がれているので何かを失う感覚はないです。むしろ役目を終えたマケットに対してはお疲れ様、ありがとうねっていう思いです。