小川原隆太 彫刻制作記録(森共同アトリエ管理人日記)

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過去作品の振り返り 6 木彫作品3 完成

innocence

H180cm×W450cm×D70cm

 

1年がかりの作品です。そういえば塑像ラストの作品。lifeも1年がかりでした。

さて、今回の作品で明確になった彫刻の視点ですが、それはマケット作品と実際の完成作品を見比べると分かります。

↓マケット

木彫の完成作品は脚が大分太いと思います。

当初のイメージではマケットの形を理想としていましたが、彫り進めていく中で(丸太の状態から段々細くなっていく過程で)マケットより太い状態でとどめておく方が作品としてより良いと判断したのです。

実際のトラももちろんこんなに脚は太くないですが「彫刻」ではそれを再現することが目的ではないです。良ければなんだって良いわけですね。

 

マケットは塑像作品ですが、塑像は心棒を作って粘土をつけていく。

つまりゼロからプラスしながら形をつくっていくわけです。

0→30→70→90→100(理想の形)みたいなイメージ。

逆にカービングである木彫は、

500→400→300→200→150(今回の理想の形。100ではなかった)みたいなイメージ。

足すか引くかで全く違うのですが、塑像サイドからの視点で言えば、理想の形より量が多い状態を塑像では一回も経験しない状態で最初に持っていた理想の形に到達してしまうということです。

これまでの自分は塑像での制作で「もっと厚みを増したら今より良くなるかもしれない」なんてことは想像すらしませんでした。一目散に理想に向かっていく感じでしたね。木彫は強制的に多すぎる量を削って進めるので絶対的に量が過剰な状態を経験することになります。

完全に盲点でした。塑像では理解できない(しにくい)感覚です。この作品で形に対する判断のキャパが大分上がったように思います。

反対に言えばカービングでの仕事は彫り込みきれずに形が甘くぬるい感じになりやすいという難しさもあるんだと思います。でも自分はずっと塑像をやってきたので引き締まった形側のイメージは掴めています。なのでカービングで彫り込み切れないということもないです。モデリング、カービング。どちらの感覚も得ることができてよかったと思います。

 

今回の作品は恒例の限界突破のための作品でした。価値観の常識をレベルアップさせることが目的です。できると分かっている事を繰り返しても何も変わらないので、定期的にこういう取り組みをする必要があると思っています。

始める前は出来っこないと思うような作品を制作を通してなんとか乗り越えていく。完成する頃には過去の作品は今の自分にとって大分レベルの低い作品になっています。

そしてまたその価値観を持って次の制作に向かう。この繰り返しですね。生きている限り彫刻はつくり続けるだろうし、同時に成長し続けるのだと思います。

 

次回からまた人物作品に戻ります。この作品を機に自分の彫刻に自信がついて作品観が大きく変化したように思います。

 

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