大学院では1年生の4月から修了制作を開始しました。
小さめの作品ですが、ガラスを素材としての制作に挑戦しました。当時大きな古い電気窯を持っていたのですが、ガラスの鋳込みを行うにはマイコン制御(自動制御装置)が必要不可欠でした。もちろん自分の窯にはそんな装置はついていないので、何とか自作することにしました。
秋葉原に坂口電熱という電熱線の専門店があり、そこで熱電対(窯用温度計)を購入していたのでそこに相談し、必要なパーツを集めてもらいました。(マイコン全体を完成品として買うと何十万円もするので自作必須でした)
と言っても主にはマイコン装置と電磁スイッチ(マイコン制御で電磁スイッチをon、offして温度を調整します)、あとは電磁スイッチのオーバーヒートを防ぐためのヒートシンク(放熱機)です。これらを組み合わせて完成。電気窯に接続。結構シンプル。
ちなみに僕が持っていた電気窯は奥行き50cm高さ70cm幅150cmの炉内サイズで、素焼きしか出来ないものでした。(850度まで)しかしガラスは800度まで温度が上がればOKです。
↓まず粘土で原型を作り、石膏取りします。細かいところもパテで埋めて修正。
飛び出た形は後で削ってなおせますが、窪んでしまったらガラスになってしまった時点で直せません。

その後シリコン取り。

内側にロウを塗り込んで、ワックス原型を作ります。その後ワックス原型の周りを耐火石膏で盛っていきます。
窯で脱ロウ後、型の穴を上にして、植木鉢を乗せ、ガラス素材を入れて窯の温度を上げていきます。
↓窯を開けて鉢の中のガラスが下の穴から全て流れ落ちたのを確認。

約14日間かけて徐冷して、型から割り出し、まずは砥石で水研ぎし、最終的には1000番くらいのサンドペーパーですりガラス調に仕上げました。

この作品は外側から中心までの距離がどこから測っても同じくらい(のイメージ)で制作しました。凝縮した宝石のような感じですかね。

もう1点。人物が宙に浮いているような作品。


パートドヴェールという技法があって、それは鋳込むガラスが細かいビーズ状のものだったり粉だったりするのですが、気泡が混じって濁った感じになってしまうので、今回は気泡の全くない半球状のものを使用しました。これは運もありますが、基本的に気泡が入らないです。(砕けたガラス片もあったりするのですが、それも気泡が多い)
↓ ビレットという気泡のない半球体。砕けたものはK2と言う。

↓一番奥のはK2で実験してます。結局濁った感じが良くなくてNG。

ガラスの2点は実験的に制作したもので心情的に重要なものではなかったので、今思えば修了展に出さなくてもよかったなと思っています。
ガラスの作品は正直綺麗だなと思ったし、可能性を感じたのですが何分制約が多くて自分の表現したい領域には不向きだなと感じました。
というわけでガラスでの制作はこれきりです。
ちなみに当時使っていた窯は素焼きしか出来ない癖に20キロワットの容量が必要で、3相200V20キロワットで契約すると基本使用料だけで2万円かかるというモンスター窯でした。(そこから使った分だけ電気代がかかる。逆に全く使わなかった月は基本使用量は半額)
頻繁に使うものではないのにそんなの契約してられないと思い、臨時電力として、使うときだけ割高な料金で東電に毎回電線を繋いでもらって使用していました。
めんどくさいけどそれでだいぶ安く済みました。
次回は修了制作の大作品について書いていきます。